暇つぶし、ではなく教材研究の一環として、Google Earthで『土佐日記』に登場する地名をチェックしてみた。そんなに凝ったものではないし、旅程は教科書や資料集なんかにも図入りで載っていて、特に新たな発見があるわけではないのだが、行ったことのない土地の様子を、しかも時代も超えて想像してみるのは多少楽しいものであった。個人的には、高知大学田舎にありすぎ、大阪大学大阪市にあるんじゃないんかい、といった新たな発見が。『土佐日記』に関しては、「松原」が二カ所あるのがおもしろいといえばおもしろいか? kmlファイルという謎のファイル形式でエクスポートできたので上げておく。こちら。Google Earth→プロジェクト→新しいプロジェクト→kmlファイルをインポートで開けるはず。

去年、『土佐日記』の教材研究をしてみて初めて知ったのだが、かの有名な冒頭の一文「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり。」の解釈には異説があるそうだ。この文は伝聞・推定の助動詞「なり」と断定の助動詞「なり」の判別を覚えるのに都合がよいとされており、つまり、「すなる」が「するという」、「するなり」が「するのだ」で、ひらがな文学の創造のために貫之が女性に仮託して〜なんてのが、学校で習う『土佐日記』である。しかし小松英雄氏によれば、冒頭の1文は「男もじなる日記といふものを、女もじでみむとてするなり」であり、つまり男文字(漢字)でなされる日記というものを、女文字(平仮名)で試みよう、なんて意味になるという。そうなると後段の「ある人」は何だ、という話になってもくるのだが、これもなかなかおもしろいというか、すっきりしてしまうというか。この話は、混乱させてしまうだろうなぁと思い授業では話さなかったが、『古今和歌集』「仮名序」の筆者でもある貫之の平仮名への思いの強さが感じられるような。などなど、千年の古典なだけあって、『土佐日記』にはおもしろい話がつきない(『新古今和歌集』の藤原定家が臨書する話とか、文学者・定家の思いを想像すると熱い気持ちになる)。

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