田島列島『水は海に向かって流れる』

とりあえず1巻。

久々に読むのに時間のかかる漫画を読んだ。薄味の画風には嫌味がなくいつまでも見ていられる。なぜ見ているのかといえば、画力がすごいとか、描き込みがすごいとか、そうした凄さというのは私には判断できず、そうではなくて、画と台詞による巧みな心理描写に心打たれ、ページをめくれなくなってしまうのである。ページをめくれない……これこそ本の醍醐味である。

しかし、ヒロインの「26歳OL」という設定の美しさよ。若すぎず、かといって妙齢の女性が、「恋愛しないので」と呟くその後ろ姿よ。それでいて主人公の高校生男子や周囲には恋愛の主体/客体として見られてしまう(「〜の彼女かな」、あるいは近寄られて赤面する主人公)。あるいは、恋愛というものは、望むと望まざるとにかかわらず、参加させられる、あるいは舞台にのせられる、そういうものなのかもしれない。これもまた恋愛の苦しさの一側面であり、場合によってはこれは、希望でもあるだろうが、仮にこの漫画の物語にハッピーエンドが待っているとして、それは恋愛によるものなのか、それとも恋愛から離れたところにあるのか、どちらにせよ先の楽しみな漫画である。

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