更級日記は西暦1000年頃、菅原孝標女によって書かれた日記文学である。私は寡聞にして全文を読んだことはないのであるが、多くの人は以下に引用する更級日記の、作者が文学にふけった少女時代を回想した場面を見たことがあるのではないだろうか。

“物語のことをのみ心にしめて、我はこのごろわろきぞかし、さかりにならば、かたちもかぎりなくよく、髪もいみじく長くなりなむ、光の源氏の夕顔、宇治の大将の浮舟の女君のやうにこそあらめ、と思ひける心、まづいとはかなくあさまし。”

軽く現代語訳すると、今は器量もよくないが年頃になったら美人になって髪も美しく長くなり、源氏物語に登場する女性である夕顔、浮舟のようになるだろうなぁ、と思っていた私は馬鹿らしい、といった感じになるのだが、ここで注目したいのは夕顔と浮舟である。

まず夕顔。彼女は夕顔の巻にのみ登場する女性である。例によって光源氏に愛されるのであるが、かの悪名高き(?)六条御息所の生霊にとり殺されるという不遇の最期を遂げてしまう悲劇のヒロイン。そして浮舟。彼女は薫君と匂の宮とに愛され、どちらを選ぶこともできずに自殺を計ってしまう、やはり悲劇のヒロインなのである。

そう、菅原孝標女は、悲劇のヒロインに憧れていたのだ!

さて、ここで恋空である。恋空といえば美嘉によって書かれたかの有名なケータイ小説であり、多くの共感と批判を生んだ西暦2000年頃の話題作である。私も携帯でとばしとばしなんとか読んだ。正直うろ覚えなのであるが、主人公の女の子がレイプされたり、好きな人との間に子どもができるも流産してしまったり、その恋人がガンで死んでしまったりする。悲劇の女性なのである。

恋空以来、似たようなストーリーの小説が女子中高生によってたくさん書かれたことは記憶に新しいが、私はここに、女性が千年間変わらずに抱いてきた悲劇のヒロインへの憧れを見たのである!

……というか、恋空がノンフィクションとして書かれたことを忘れていたのでもともと微妙な記事がさらに微妙になってしまったが、千年前の女性も現代の女性も、どこかで悲劇のヒロインに憧れている、そんな気がしたのである。もちろんすべての女性について論じることはできないし、断定もできない。しかしこのことは、男性の私からしたらちょっとおもしろいなぁと思ったのです。悲劇のヒーローになりたいだなんて思ったことは微塵もないし、他の男どももそうだと思うので。まぁ、答えは見つかりません。変な記事だね。

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