思えば小学4年生の誕生日、「これでプレゼントを買いなさい」と手渡された夏目漱石。車で連れていかれたのは本屋。「漫画はダメ」と言う母。

例年どおりゲームソフトを買って貰えるものだと思っていた僕は落胆しましたが不満を口にして何も買ってもらえないのもおもしろくないですし、なんとなぁく児童書コーナーで見つけ手にしたのが名探偵夢水清志郎事件ノートシリーズ2巻の『踊る夜光怪人』でした。

それ以来このシリーズにはまり、既に発売されていた巻も読み、なんと僕は「推理小説を書きたい!」とほざきましたが、その『夢水清志郎事件ノート』が『卒業~開かずの教室を開けるとき~』でついに幕を閉じるらしいです。この本たちのおかげで「推理小説」を書くことを夢見た僕。今では推理小説への興味をほとんど失いましたが、小説家になりたいとは思い続けているのですよ。

子どもってやっぱり無限の可能性を秘めてるんですよね。しかし10代も後半、中学高校と進学していくにつれ未来が着々と狭まってゆくのを節に感じます。いくら夢があっても、例えば僕は小説家になりたいと思っていますが、大人になったら自力で食っていかなければならないわけですよやっぱり。そういうことを考えると、夢を追う前に受験だなぁ、そして就職だなぁ、と思ってしまいますよね。というか夢を追うのはその後にしろとほとんどすべての大人が言いますから、ああそうなんだな、という気持ちになるのです。

しかし、『夢水清志郎』は違う。
「子どもが夢を持てる社会をつくる――それが大人の仕事だよ。」
「名探偵の仕事は、みんなが幸せになるように事件を解決すること。」
と彼は言います。

そして、物語の中の子どもたちと本の読者という多くの子どもたちを前にしての、最後の謎解き。夢水清志郎の真意を理解したとき僕は、なんというか、非常にさわやかな、幸せな気分になりました。まさに夢水清志郎の言葉どおり、見事な謎解きです。

夢水清志郎、いや、作者のはやみねかおるが子どもについて願ってくれていること。この児童文学でありながらなかなか本格的なミステリーであるこのシリーズを通じて伝えてきてくれていたもの。この歳になってようやくわかった気がします。

子どもたちよ、夢を持て、と常に言い続けてきたはやみねかおる。彼が後書きの締めに書き続けた「Good Night, And Have A Nice Dream.」という一文をこのシリーズで読むことはもうないのかと思うと、やはり長い付き合いでしたから、寂しいです。しかし、ちょうど良い節目かな、とも思います。僕もいつまでも子どもだとは言ってられない年齢になってきました。しかし、夢を忘れるわけにもいかないのです。確かに夢にむかって進む三姉妹やレーチ、そしてほかの多くの子どもたちと同じように――。

ところでみなさん、後書きで述べられていた仕掛け、わかりました? はっきり言って難しかったけど、ヒントでなんとかわかりましたよ~。

途中でラピュタに目がいってしまった……ジブリってやっぱり圧倒的におもしろい。すさまじい世界観構築。その話はまた後日ということで、それでは!
“Good Night, And Have A Nice Dream.”

卒業~開かずの教室を開けるとき~ 名探偵夢水清志郎事件ノート (講談社青い鳥文庫) 卒業~開かずの教室を開けるとき~ 名探偵夢水清志郎事件ノート (講談社青い鳥文庫)
はやみねかおる

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