4894906228 planetarian―ちいさなほしのゆめ (VA文庫)
ビジュアルアーツ 2008-11

これ、なにかって言うと、ゲーム『planetarian』のサイドストーリーです。
正直この本だけで楽しめるのか? と言われると微妙です。私的には楽しめるかもしれないと思うのですか、ゲームプレイ後にやったのでなんとも……。

本編であるゲームが素晴らしすぎて、思わず買ってしまった本です。ゲームは当時確か3000円くらいで、ゲームにしては安価なのですが、プレイ時間的にはそれに見合った、あるいは高めと言えるくらい、すぐにクリアできます。しかし、非常に満足しました。

永遠に止まない雨、荒廃し人のいなくなった都市。その町の中心で人間を待ち続けるロボット……こう書いてみるとどこかで聞いたことのあるような話ですが、演出とあいまって実に美しい作品世界を見せてくれるんですよね。童謡的な音楽(童謡の編曲もありました)と、SF映画のような背景。おまけにかわいいロボットの女の子。
そしてなにより起承転結のはっきりしたストーリーですよ。個人的な趣味ですが僕は構成が美しくはっきりした短編作品が大好きで、これは見事にツボにきました。

短い作品で確実に感情移入させしまいに泣かせるという、作者の思惑通りにしっかりはまりましたよ。方法論があるとわかっていても、泣いてしまうのはしょうがないですよね。「与えられる涙」ではありますが、こういうのもなかなか心地よいです。

さて、短編集の話をしましょう。
『星空・言葉・神様・ロボット 四つの主題による小品集』ということで短編が四つ入っています。それぞれが結構テイストの違う小説なのですが、荒廃系といいますか、そういうSFのにおい香る綺麗な短編たち。
一章『雪球圏』は、ロボットと人間の差と言いますか、我々は限りなく人間に近いロボットをロボットだと割り切ることができるのか、みたいなことを考えさせられる一編。世界が荒廃する前の話ですが、『planetarian』における世界崩壊の原因の一端を知ることができます。有史以来人類が技術の進歩と並行して日進月歩で生産し続けた「仕事」。しかし、いつかその生産活動には限界がくる。ということですかね。技術の進歩がやがて仕事を奪う。そのとき、人間はどう動くのか? という。SFですねぇ。
二章『エルサレム』もやはり、ロボットの「人権」みたいなものを考えさせられるもの。また、技術の進歩が人類の衰退につながりかねないことを考えさせられます。この章は、ゲーム本編の補完への橋渡しといった所でしょううか。この章の主人公はあるいは、本編に関わっている可能性もありますね。
三章、四章はまさに『planetarian』の終焉であり、テーマの収束部である。過去でも未来でもしぶとく生き続ける人間の強さ。そして、『planetarian』本編の二人の物語の完全な終幕。
久し振りに長文書きましたが、これは本当にお勧めですのよ。ぜひ一度はこの作品世界に触れてほしいと思います。

なお、作者涼元悠一氏のホームページスズモトジェイピーの2007/01/07の日記に、この作品を補完する.pdfファイルがあります。本編、小説と読まれた方はぜひ……。

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