暖かい珈琲といっしょに
たくさんの心と
その倍の瞳が
形造った世界の話を……


街はずれの教会で
君が信じる神さまに
君が祈る姿を
小さな天使が
秤を持って
微笑みをたたえて
君の肩を叩いて
君は振り向きもしないで
ため息をついて
君の信じるものに祈る
天使はステンドグラスを抜けた
厚い雲からは雪が降り
月も星も隠してしまって
街灯がぼんやり浮かんでいた

おじいさんが薪をくべて
君はその暖炉の前で
穏やかな寝息をたてて
しわだらけの手で撫でられて
くすぐったそうに笑みを浮かべて
天使が飛び交う夢をみて
やがて火が消えた
冷たくなった世界
暖かな二人がうかぶ
天使は二人を包み飛び去る

薄い毛布の中
仲間たちと寄り添う君
子どもたちは眠る
煉瓦は少しずつ体温に近づき
知らない母を思い出して
寄り添った猫を
毛布にむかえいれ
子どもたちと君は眠る
天使は君たちに
何もしないで
高く昇る

失った君は
ただ暖かさと
生命であることを求めて
さらに失い続けてしまう
天使には何もできない
黒い珈琲にも何もできない
君の神さまにも
何もできない

たくさんの心と
その倍の瞳
すべてが君
大切なもの
信じるもの
眠る場所
何も同じじゃなく
何も違わない

戦って
傷つけあって
邪魔しあって
何もかも壊して
大切なものを奪って

天使が太陽を引っ張って
美しい歌声で
君を目覚めさせる
優しい世界であって欲しい
幸せであって欲しい
天使は君の傍で
何かを話しかけている

僕にできることは
とても小さい
君のために
なるべく暖かい珈琲を煎れること
なるべく優しい唄を贈ること
そして君は
僕でもある
天使が教えてくれるのは
一番知らなければならないこと
事実とは限らない真実
君たちと僕らの真実




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