"Harusion"








 登校の途中で、花を摘んだ。公園の入り口の所に、独りポツンと、けれど確かな存在感を持った花だった。名前なんかもちろん知らなかった。ただ、学校の理科の授業で使うためだけに摘んだ。馬鹿みたいな暑さと、白いワイシャツに反射する日光。いつもどおりの、最悪な日常。授業と休み時間によって時間をひたすら消化し、何もない家に帰る。土日になれば自由を享受し、再びブルーな月曜日をむかえる。そんな日常と、名を知らぬ、花。





「それ、ハルジオンっていうんだよ」

 間違いなく。
 今まで、彼女を意識したことはなかった。ただ同じクラスの生徒で、友だちの多い、しっかりした女の子。
 初めて本当の恋をしたのは、きっとその時だ。悪夢の月曜日も、つまらない学校も、何もかもが彼女の光に覆われて、そして……。

 なんでハルジオンが好きな花かって言えば、他に知っている花が無いからには違いない。けれど、その花を見る度に、彼女を想うのもまた違いない。



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